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の意見を聴きながら実施しているのであって、法制度上はともあれ、実際に市町村から分離・独立した形で実施している事務はわずかであるといってよい。 したがって、現状の府県は、A1の総合的調整型政府だということになる。 A1型の府県が形成された背景には、機関委任事務にみられるように、国が市町村の事務にいたるまで集権的校コントロールを及ぼすという体制の下で、府県も国の下請機関として広く市町村の事務に関与してきたという事情があることは確かである。しかし、3の実態分析からも伺われるように、法制度に位置づけがなくても、府県と市町村は事実上の調整を行っているのであり、地域の側にもそれを必要とする事情があるという面を見逃してはならないと思われる。 では、今後は、どのような方向に進めるべきだろうか。 まず、論点?Aの府県機能の規模・領域については、地方自治における市町村優先の原則からすれば、一般的には府県機能の領域は狭い方がよく、B型が望ましいといえそうである。しかし、第1に、3の実態分析からも伺われるように、広域事務も他の事務と密接に関係しているから、ある特定の広域事務だけを担当し、他の事務については情報もないという状態では、広域事務自体が十分な効果を挙げられないおそれがある。たとえば、広域的な土地利用計画だけを担当し、都市計画や地域振興については何らの調整権も関与もないとすれば、広域的土地利用計画は絵に書いた餅になりかねない。第2に、現在の市町村の規模、能力等の差異を考えると、市町村への補完的機能が重要だが、そのためには府県の機能は総合的であった方がよい。第3に、府県の守備範囲が狭くなる一方で、国の市町村に対する直接関与が増加してくれば、市町村自治はかえって脅かされる。こうした微妙な問題を見据えながら、府県の守備範囲を定める必要がある。 次に、論点?Bの市町村への関与機能は、市町村自治にとって、不完全ではあっても幅広い権限がよいか、狭い範囲でも完全な権限がよいかという問題であり、即断はできない。しかし、府県側からすれば、市町村への関与を行う必要性は高い。第1に、府県がその機能を十分に果たすためには、市町村主体の事務に関しても情報を入手し、協議し、又は市町村を支援、誘導することが重要である。たとえば、地域振興を進めるためには、市町村行政の全般にわたる情報を入手し、市町村の総合計画等と地域振興計画との連携を図ることが必要になる。第2に、府県が地域の意見や利害を吸い上げ、また地域の合意を調達するためにも、市町村との協議・交渉は重要である。府県の意思決定に影響を与えられることは、市町村にも有益だと思われるが、それは相互の関与、交渉の機会がなければ難しい。
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